おぺんぺん大学

ざーさんによる本の雑記たちとたまに創作

受苦と執着と墓碑 (中編小説)

熱気が立ちこむ路地で猫はつぶれていた。 シュウジはさっきまでくつろいでいた事務所のソファに封筒を置いてきたことを思い出した。猫は腹を切り拡げた絨毯のように伸びていた。ひらぺったい、毛にまみれた動物の皮膚が封筒を連想させたのではない。そばに落…

ぼく(ら)は誰と生きるのか、

4月のはじめに友人の訃報が流れてきた。亡くなって一月経ってから彼女の友人を名乗る人物が代理で報告していた。彼女とは社会人になって、一人暮らしを始めたころ、ネットのつながりで知り合った。一度も実際に対面で会うことは、これにてなかった訳なのだが…

どざえもんの夜 一人暮らし4ヶ月目の所感

茶を沸かし、それを水筒なりコップなりに注ぎ飲み過ごすサイクルが続いたが、今朝がた、沸かしてみたら何やら青ざめるような、緑の藻のような粒がいくつかまとまって泡立っているのを見た、おやおやまあこれはなんということだ、麦茶を買ったのが緑茶にでも…

便器と鼻うがいと吐くほどの煙(一人暮らし3ヶ月目の所感)

ひとり暮らしを始めて、ついてしまった生活の癖のひとつにトイレをしながら歯を磨くということである。一種の時短のように聴こえはいいが、私の住まいの間取りが関係している。まあ排水設備の関係上、洗面所とトイレが近いなんて決まりきったことだがトイレ…

対象の輪郭

このごろブログがご無沙汰なのだが4月に入ってから一日一個載せたらツヨくない?なんて浅はかなことを考えていた私は馬鹿で、社会人ってドチャクソ慌ただしい生物だって知らんかったわ、まだまだ先っちょだけ入れたくらいのヒヨッコが何を言うとるんや社会な…

手段としての知識、手段としての継続

野暮な人間をしている私だけども、知識を漠然とシャワー状に浴びるほど容量を持ち合わせた人間でもない。知識を溜め込む容量があったとしても、処理能力は人それぞれだろうが、つくづくそれは大学受験だとかの試験ごとで個々人で自らの限界を覚えただろう。…

わたしに残された特別な時間の終わり(2ヶ月ひとり暮らし総括)

軒下からピアノ線!!!と言いたげなもったいぶらない朝があるが、わたしはこのごろ6時きっかりに目が覚める体になった。なぜかはわからない。体内時計とかいうものかしらん?知らぬ。アラームで6時に起床していた習慣はとうの昔にすぎて、大学時代のおよそ…

漸進的横滑りをする冬の終わりへーあるいは「#春からおぺんぺん大学文学部仏文学科ヌーヴォーロマン専攻」について

この怪文書をツイッターのハッシュタグで、 という書き出しで始めてみたいのだが、さもこんな題でいきなりツイッターなんてミーハーみたいなノリで書き出してしまうというのがどれだけ浅はかかしらん?うふ?うふ?と吐き気がしたのでペンも匙も根気も投げて…

セッターの伊藤

ばるむんくヨシオくんはどんな女子がタイプときかれて男殴ってそうな女と答えた。ぼくらは彼には被虐癖があるのかと疑ったが、彼が暴力の世界に足を踏み入れているとは思えない。温厚なばるむんくヨシオくんがそんな趣味を持っているなんてしーしゃキヨコち…

骨糸(こついと) [創作]

朝を寝過ごして、午前中をゆるやかに布団から出たのか出てないのかと可能性の縁に体を縛りつけ続け、十一時ごろようやく顔を洗い、コーヒーを沸かしてふと意識を鮮明にさせるともう正午を過ぎていて、出かけることが億劫になってしまったニライはベランダに…

シーソーのない公園 (短編24枚)

ピクニックに行こう、と誰かが言った。 誰が言ったかは古川にも江藤にも堀江にもわからなかった。覚えていなかった。下宿生活のかたわら、出どころがわからない資本がちょくちょく吹き出す堀江の部屋で持ち上がった話じゃなかったかと古川は記憶しているが確…

さあかす(167枚)

アンケート あ、浮きだしてしまった、と木村蛙(きむらがえる)は云った。 ずいぶんと、人の云うがままになるのはやめていたから、浮きだしてしまった。木村蛙はうなった。事実、あの夏から彼はぼくのようないわゆる一般人の歩く高さを歩けない。 ときどき、…

公開できる範囲の日記(2020 9.1〜9.8)

9.1 夜中を通してうまく眠れず。朝起きて昨日の夕食になるはずだったおかずを探すが見当たらず、米とあさげのインスタントを摂る。「響きと怒り」を読み終える。昼食を食べたあと、父方の祖父が父親に預けたものを取りにうちに来る。祖父の話では父親が私に…

公開できる範囲の日記(2020 8.22〜8/31)

8/22 集中講義の最終課題の規模不明のためにあらかじめバイトを休みにしていたが、前日のうちに済んでしまっていたのでただの休みになってしまった。坂口安吾「木枯の酒倉から」を読む。酔っ払いの独白のパートが一読してあまりにつかみかねる。全集一作目で…

公開できる範囲の日記(2020 8.8〜21)

8/8 バイト。行き帰りの電車でネルヴァル「火の娘たち」を読む。昼飯に行こうとしていたマックが臨時休業していた。薬を飲むことをすっぽかす。どこも寄らずに帰る。夕飯は餃子。風呂に入り「アンチ・オイディプス」下巻に入る。なるべく早めに眠りたい。緊…

増殖するパラレルと失われた時を取り戻せ ー町屋良平「1R1分34秒」

(スマホのメモ欄漁ってたらだいぶ前に書いたものが出てきました。どこにも載せてないのでここに貼っておきます。あくまでわたしの所感です。たしか) 「試合の記憶とビデオの自分の動きとの符号と差異、ありえたかもしれないKO勝ち、ありえたかもしれない…

公開できる範囲の日記(2020 7.31〜8.7)

7/31「アンチ・オイディプス」第三章第四節を読み終える。大江健三郎の「ピンチランナー調書」を読む。ミシェルレリスの「獣道」のいくつかを読む。昼、炒飯を食べながらずっと楽しみにしていた、NHK BSでやってたのを録画した「溺れるナイフ」を見ようとす…

おぺんぺん大学 学長挨拶

学長なんていないからかわりに私がつらつら文章を並べてその場を乗り切ろうと思うんだが、なんだ貴様、ふざけてるのか、と笑ってラリってるグラサンのおっちゃんが肩を叩いてきそうだが、ヘイヘイ、日本のサンディエゴに股を挟んでバナナロケットの勢いで跨…